お金に関する普遍的な真理:「サイコロジー・オブ・マネー 」(モーガン・ハウセル)について

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この記事のおすすめポイント

① お金に対する付き合い方を理解することができる
② 投資で最も大事な考え方を知ることができる
③ お金に関する普遍的な真理を知ることができる

こんにちはモモキンです。

お金の心理に迫る世界的ベストセラー「サイコロジー・オブ・マネー」という本を紹介します。

著者のモーガン・ハウセルさんはベンチャーキャピタル「コラボレーティブ・ファンド社」のパートナーとして活躍しています。

またウォール・ストリート・ジャーナル紙の元コラムニストでもあります。

この書籍は世界中で累計200万部以上販売され、55ヶ国語に翻訳されるなど世界的なベストセラーとして高い評価を受けています。

この本を読んでモモキンが考える結論は以下3点になります。

モモキンのこの本の結論

①自分で時間をコントロールするためにはお金を貯め、使うことが重要
②「夜、安心して眠れる」ような資産管理を心掛ける
③投資では「誤りの余地」を大切にすることで持続的な利益を得ることができる

この本は投資に関する書籍です。

しかし注目すべきは投資に関する具体的な内容は含まれていない点です。

投資について一般的に人々ががどのように考え行動するかに焦点を当てて解説しています。

加えて本文の中に人生とお金の管理の関連性についても解説されています。

出版は2021年で総ページ数は325ページに及びます。

投資に対してのマインドに興味がある方はぜひこの本を読んでみてください。

この本を通じて投資に関する意識を良くして、成功に近づけることを願っています。

本の概要

はじめに

本の冒頭ではロナルド・ジェームズ・リード氏の驚くべき物語が紹介されます。

彼はガソリンスタンドの店員から百貨店の清掃員として働き、最終的に800万ドルの資産を築き上げました。

またメリルリンチのエグゼクティブであったリチャード・フスコーン氏についても触れられます。

彼は金融ビジネスで成功しましたが2008年のリーマンショックによって破産してしまいます。

この対照的なストーリーを通じて本書ではお金に関する心理学的な側面が深く分析されています。

お金に関する人間心理を理解することで賢明なお金の使い方や運用方法を学ぶことができます。

第1章 おかしな人は誰もいない

この章のタイトルには不思議さが漂っていますが、実際の内容はとても興味深い内容です。

人々はお金に関わるときに奇妙な行動をとるものです。

しかしその奇妙さこそが誰もが独自の存在である証なのです。

私たちは生まれた育った時代や社会、家庭環境によって大きく異なる存在です。

それらの要素がお金への考え方に深い影響を与えます。

それによって人々のお金に対する行動も変わってきます。

一方でインデックスファンドの登場からまだ50年も経っていません。

それはインデックス投資の歴史は浅く、人々の理解が不十分ということができます。

他人から見るとおかしな行動に見えても本人には意味のある判断に基づく行動です。

それは誰もが独自の存在であることを意味しています。

第2章 運とリスク

「運」と「リスク」どちらも不確実性を伴う言葉です。

成功すれば「運が良かった」と称賛され、失敗すれば「リスクが現実となった」と嘆かれます。

この章ではマイクロソフトの創業者であるビル・ゲイツ氏の高校時代のエピソードを取り上げています。

1968年、ビル・ゲイツ氏が通っていた高校には熱心なコンピュータ教育の先生がいました。

当時、入手困難だったコンピュータに高校で触る機会を得たのです。

ビル・ゲイツ氏はその時の貴重な経験を通じマイクロソフトを起業することになりました。

彼の成功は単なる「運」によるものではありません。

しかし彼の成功には運の要素が大きく関わっていたとも考えられます。

第3章 決して満足できない人たち

この章では「足るを知る」という貴重な知恵の重要性について焦点を当てています。

人々がいくらお金を手に入れても満足感を得られない理由について探求しています。

そのために「足るを知る」を知らない人々の例を提示しています。

私たちが経済的な成功を収めた場合には以下の4つのポイントに留意する必要があると述べています。

  1. 動き続けるゴールポストを止めよ
  2. 「富の比較ゲーム」に参加してはいけない
  3. 吐くまで食うな
  4. 大きな利益が得られる可能性があっても、危険を冒す価値の無いものは多い

経済的な成功を追求する中で生じる欲望と満足感を知り真の幸福を見つけることが重要です。

第4章 複利の魔法

この章では皆さんもおそらくご存知の複利の驚異について解説しています。

ウォーレン・バフェット氏の事例として彼が持つ純資産額が2021年時点で845億ドルに達していることを紹介しています。

驚くべきことにそのうちの842億ドルはバフェット氏が50歳の誕生日を迎えた後に蓄積されたものなのです。

バフェット氏が投資で著しい成功を収めた最大の理由は時間を味方につけたことにあります。

投資の成功には複利の力を最大限に活用することが肝要です。

一度投資を行ったら「黙ってじっと待つ」という戦略が要求されるのです。

時間と資産の相乗効果によって資産は着実に成長していくことでしょう。

第5章 裕福になること、裕福であり続けること

この章では「裕福になる」よりも「裕福であり続けること」の重要性を説いています。

事例を通じて裕福になった人が必ずしも裕福であり続けるわけではないことを説明しています。

そして投資において避けるべき最大のリスクは市場からの退場です。

「お金で成功するために必要なこと」を著者は「サバイバル(生き延びる)」と表現しています。

さらに投資による破滅を回避するためには以下の3つの要点が重要と強調しています。

  1. 大きなリターンを追い求めるよりも、経済的な破綻を回避することを目指す
  2. あらゆる計画において計画が予想通り進まない可能性を常に考慮すること
  3. 未来に楽観的な姿勢を持ち、チャンスを見逃さないようにする

著者は傲慢さを捨て去ることが重要で持続的な成功と裕福さをもたらすと語っています。

第6章 テールイベントの絶大な力

この章ではテールイベントの重要性について語られています。

テールイベントとは極めて稀にしか発生しないがその影響が巨大な事象のことを指します。

2008年のリーマンショックや2020年のコロナウィルス流行などが具体例として挙げられます。

一般的にはネガティブなイメージが強いですが、携帯電話やインターネット、スマートフォン、リモートワークなどのプラスのテールイベントも存在します。

著者はこのような極めてまれな発明や出来事が世界を大きく変えていることを強調しています。

一方で注目されなかった発明や業績が伸びずに倒産してしまったた企業も多く存在します。

本書ではテールイベントとなるビジネスや投資を追求することで成功につながる可能性があることを結論づけています。

たとえ半分以上が失敗したとしても一つのテールイベントで大金を生み出すことができるのです。

第7章 自由

この章の冒頭には魅力的な文章があります。

最高の豊かさとは、毎朝、目を覚ました時に『今日も思い通りに、好きなように過ごそう』と思えることだ。」

と掲げられています。

さらに「お金が人生にもたらす最大の価値は自由」とも述べられ重要性が強調されています。

多くの人々は子供から大人になり家族を持つと収入に対してどのように向き合うかを考えます。

新たな夢や目標を追い求めても、お金の制約で難しいと感じることもあるでしょう。

単に稼ぐことだけに焦点を当てるのではなく、その本質を見失わないようにと述べています。

著者は本章の結末で「モノではなく、時間こそが人生を幸せに導く」と明言しています。

具体的な対処方法は個々人によって異なるでしょうが本質的な考え方は先述の言葉に集約されていると思います。

第8章 高級車に乗る人のパラドックス

この章では高級車に乗る人々のパラドックスについて解説されています。

一見スポーツカーや豪華な車に乗ることは称賛を集めるためのように思えます。

しかし著者は異なる視点で解説しています。

尊敬や称賛を本当に得たいのであれば外見的な優位性や贅沢な所有物に頼るものではありません。

謙虚さ、優しさ、共感といった内面の価値を磨くことこそが重要と説いています。

第9章 本当の富は見えない

この章では「富(ウェルス)」と「物質的豊さ(リッチネス)」との違いについて深く掘り下げられています。

富(ウェルス)とは未使用の収入や資産の蓄積のことを指します。

それは目に見えないものであり持続的な価値を持っています。

物質的豊かさ(リッチネス)とは現在の収入から享受される贅沢や物質的豊かさを指します。

それは一時的な快楽をもたらすものであり、目に見える形で示されます。

本書では富の真の意味について、富を築く方法や富を追求する模範の人物にについて解説されています。

第10章 貯金の価値

この章では富の築き方において収入よりも重要な要素である貯蓄率に焦点を当てています。

富を築くには収入より貯蓄率が大切です。

目的のない貯金こそが最大の価値を生み出すと著者は述べています。

つまり貯蓄が生みだす人生の柔軟性が私たちの最大の武器で、将来の自由や選択の幅を広げることができるからです。

貯金の意味を理解し賢明な金銭管理を行うことで豊かで充実した人生を送ることができます。

第11章 合理的>数理的

この章では数理的な分析だけでなく自分自身の感情や選好を尊重しながら投資を行うことの重要性について示唆されています。

人は感情をもった生き物であり、私たちの行動は全て計算や確率で決まるわけではありません。

投資においても同様で、単純な数値や計算上の最適解に基づいて行動するだけではなく、自分自身が納得できる方法を選択することが重要なのです。

たとえば、投資において全ての資産をインデックスファンドに投資するだけでなく、自分が好きな会社や業界に一定の割合を投資することも重要視されています。

自身に合った方法を選択することで投資を楽しみながら長期的な成功を収めることができるのです。

第12章 サプライズ

この章では予測不可能な出来事に備えるために歴史から学び一般論を把握することの重要性を説明しています。

「この世界では前例のない出来事が常に起きている」というスタンフォード大学のスコット・セーガン教授の言葉があります。

当たり前のことかもしれませんがその意味を深く考える必要があると本書で述べられています。

経済や社会においても常に変化が起きており予測できない出来事がしばし起こります。

先ほど紹介したテールイベントによって予想不可能な出来事が引き起こされることもあるのです。

そして私たちは歴史から予測を立てるのではなく一般論を学ぶ必要があると本書は主張しています。

人々の行動パターンや金融の特性などは一般的な法則や傾向が存在し確立されているのです。

一般論を学びながら柔軟に対応することで、予測困難な状況にも立ち向かうことができるのです。

第13章 誤りの余地

この章では「誤りの余地」について興味深い解説をしています。

誤りの余地とは簡単に言えば「余力」や「余裕」を指します。

トランプゲームの一つであるブラックジャックを例に挙げながら説明をしています。

ブラックジャックでは勝つ回数は確率によって決まると説明されています。

そして掛金の配分を決める際には先ほどの「誤りの余地」が非常に重要な要素となるのです。

投資においても同じ考え方が適用されます。

資金に余裕を持ちながら長期投資を行うことでこそ利益を得ることができるのです。

資金管理や投資戦略において誤りの余地を考慮することは欠かせない要素です。

第14章 あなたは変わる

人は年を重ねるに連れて置かれている状況や考え方も変化していきます。

過去に憧れていた仕事にいざ就いてみると実際は面白くなくて辞めてしまうケースもあります。

長期的な投資を行うためには長期的かつ実現可能なフィナンシャルプランが非常に重要です。

そのために著者は以下の2つのアドバイスを示しています。

  • 極端なフィナンシャルプランは避ける
    極端な収入アップや消費拡大に固執することはバランスを崩して将来の安定を脅かす可能性があります。
  • 「過去の自分」の囚人になってはいけない
    過去の専攻やキャリアが現在の成長や幸福感を阻害している場合は早めに手放す勇気を持つべきです。

重要なのは柔軟に変化に対応し自身の将来を軌道修正していくことです。

私たちは変化する世界に生きており変化に合わせて自分自身も変わっていくことが求められます。

15章 この世に無料のものはない

この章では株式投資におけるボラティリティや不確実性に対する考え方について解説されています。

1950年から2019年の間にダウジョーンズ工業株価平均の配当を含めた年利回りは11%もあります。

しかしこの期間にずっと上昇し続けるわけではなく、多くの期間で最高値を下回ることがありました。

一部の人々は損失を回避するために高値で売り抜けて底値で買い戻そうと考えるようになります。

しかし未来を予測することは困難でありこの手法では結果的に損失を被ることが多いのです。

つまり、リターンを得るためには代償を払う必要があるということです。

投資には必ず代償が伴います。

その代償を「罰金」ではなく「入場料」と捉えるべきだと著者は解説しています。

投資の不確実性を受け入れることで長期運用による市場リターンを手に入れることができるのです。

16章 市場のゲーム

この章では同じ投資商品に投資しても人によって解釈が異なることについて解説されています。

例えば、今日のグーグルの株価が割安なのか割高なのかは個人の視点や判断によって異なるのです。

同じ株式を保有していても運用方法や投資の目的によって、その株価が買い時なのか売り時なのかが異なるのです。

また短期ドレードによって作り出されるバブルに巻き込まれることは避けるべきです。

したがって自分が参加しているゲームが何であるのかを明確にするために紙に書き出すことが重要です。

17章 悲観主義の誘惑

人はなぜか楽観的な話よりも悲観論に惹かれるものです。

その理由は人々の防衛的本能に響くからだと考えられています。

お金に関しても楽観的な情報よりも悲観的な情報の方が注目を浴びる傾向にあります。

実際、悲劇的な内容は一瞬にして広まりますが進歩や成果に関する評価は時間がかかります。

投資においても同様で短期的な損失よりも長期に渡って得られる利益に焦点を当てるべきと述べられています。

一時的なマーケットの変動や悲観的な情報に惑わされず長期的な投資リターンに注目することが重要なのです。

18章 何でも信じてしまうとき

人々はストーリーの魅力に影響をうけます。

経済においてもストーリーはその内容によってプラスの影響もマイナスの影響も及ぼします。

個人においても迫りくる状況に直面すると何でも信じてしまうことがあります。

よって「真実であって欲しいこと」と「統計的に真実と考えられること」を見極める必要があります。

私たちは手に入れた情報をもとに、都合のよいストーリーを紡ぎ出し予測してしまいます。

投資においてもこの心理的な傾向を理解して、行動や判断をする際には注意が必要です。

19章 お金の心理

この章ではこれまでの内容を総括します。

まず本書の目的は読者に対して具体的な金銭アドバイスを与えることではなく、より普遍的な真理を伝えることだと明言されています。

さらに各章の要点の振り返りを行っています。

それぞれの章で明らかにされた洞察や理論を再確認することでより深い理解が得られます。

20章 告白

最終章では著者の個人的なお金に対する考え方、資産配分、そして投資先が明らかにされています。

著者は自身が他の人に勧めるアドバイスと実際に自分が取る行動は一般的に異なることを説明しています。

それは人々が置かれている状況や持つ価値観が異なるため、資産運用に関してもは大きな差が生じるためです。

著者は「経済的自立を何よりも重視してきた」と述べています。

その信念のもと「高い貯蓄率」「忍耐力」「世界経済は成長するという楽観主義」を基盤に投資を行っています。

そして彼は夜ぐっすり眠るために投資や資産運用において最大限の努力をしていることを明かしているのです。

勉強になったポイント

  • 「投資で絶対に避けたいのは市場からの退場」

この言葉は当たり前のことかもしれませんが改めてその重みを感じさせられました。

資産運用が成功しても、それを維持継続するのことは全く別の課題です。

市場からの撤退を避けることが持続的な成功を収めるために重要なポイントなのです。

私はこの教えを心に留めて投資について学ぶことを継続しています。

  • 「テールイベント」

本書ではテールイベントという言葉がよく出てきますが今までその言葉の意味を知りませんでした。

1%以下の出来事が私たちの人生に大きな影響を与える可能性を考えさせられました。

例えばコロナウィルスやウクライナ戦争といった地域的な出来事が世界中に波及して大きな影響を及ぼしています。

投資においても同様で私たちの判断や決断が重要な要所での役割を果たすことを感じました。

まとめ:お金に対する向き合い方をレベルアップする

人生を楽しく生きるためにお金の役割は重要になってきます。

例えば自由な時間を増やしたり、夢を実現するためには財政的な基盤が必要です。

もちろん健康であることが前提となります。

人生の選択肢を増やすためにはお金の役割が重要であることを改めて感じました。

かつて私もやりたいこととお金は関係ないと思っていました。

最近ではその考え方が変わりました。

年齢と共に夢や目標も変わりお金の重要性を強く感じるようになったのかもしれません。

私、モモキンは以下のようなことに取り組んでいます。

  • 無駄な支出は最小限に抑えること
  • 大切なことには積極的にお金を使うこと
  • 投資に対する考え方を客観的かつ合理的に保つこと
  • 市場の予測はできないと認識すること
  • 長期的な視点での投資を心がけること
  • 投資で最も重要なのは「サバイバル」であることを常に意識すること

これらの取り組みが現時でうまくいっているので、継続していきたいと考えています。

お金との上手な付き合い方を学びより豊かで自由な人生を実現したいと考えています。

この記事を書いて感じたこと

① 楽しく生きるためにお金の役割は重要である
② 投資は増やすことよりも生き残ることが重要である


以上ありがとうございました。

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