「イシュー」を見極める

読書

モモキンです。

「イシューから始めよ」という本を紹介します。とても有名な本で非常に売れているようです。

初版は2010年ですがいまだにアマゾンで「売れているビジネス書」ランキングトップ50にランクインしています。

読んでみてとても参考になりましたし仕事にも役立ちそうです。

しかしながら、問題や課題の解決を必要としていない人は内容を理解するのが難しいかもしれません。本の中で紹介されている手法を実際に当てはめてみることでより理解が深まるからです。

この記事では内容の紹介とモモキンの実情に当てはめた時に感じたことを述べて行きたいと思います。

非常におススメなので以下の内容を読んで頂き、是非本も読んでもらえるとありがたいです。内容が長くちょっと難しいかもしれません。

「イシューからはじめよ」とは

著者は慶應義塾大学 環境情報学部 教授 兼 ヤフー株式会社 CSO (Chief Strategy Officer)の安宅和人さんです。この本も非常に有名ですが「シン・ニホン」という本も出していて、そちらもすごく有名でYoutube大学でも紹介されていました。今後モモキン ブログでも紹介できればと思っています。

世の中に「問題」や「課題」は沢山あるが、解決するにはいくら時間があっても足りません。要するに「全ての問題や課題の解決は不可能」です。

そのため解決すべき「問題」や「課題」を選別する必要があります。本では解く必要性のある課題や問題を「イシュー」として捉え、必要性の高さを「イシュー度」と定義して「イシュー度の高い問題を解く」ことを提案しています。

序章 この本の考え方 脱「犬の道」

一般的には生産性上げるためには投入された時間に対してアウトプットがどれだけ出せるかということを検討するが本書ではそれは間違いだと指摘しています。

意味のあるアウトプットを出さないと生産性は上がらないし「バリュー(価値)のある仕事」ができないと述べています。

「バリューのある仕事」を説明するために「イシュー度」として「自分の置かれた局面でこの問題に答えを出す必要性の高さ」と「解の質」として「そのイシューに対してどこまで明確に答えを出せているのかの度合い」を定義しています。

そして「バリューのある仕事」は「イシュー度」と「解の質」の両方が高くなければならないと説明しています。

また「バリューのある仕事」のたどり着くためのプロセスとして最初に「イシュー度」を上げてから「解の質」を上げることを強く推奨しています。

題のタイトルとなっている「イシューからはじめよ」とは先ず「イシュー度を上げなさい」ということを意味しています。

逆に「解の質」を上げてから「イシュー度」を上げるのは、「イシュー度」の低いどうでもいい課題や問題を沢山解決することになるので「犬の道」と名付けて通ってはならないと主張しています。

イメージを下図に示します。

第1章 イシュードリブン 「解く」前に「見極める」

一般的に「問題」や「課題」は解くものと考えられますが、この本では「解く前に見極めよう」と述べています。「問題」や「課題」に既に答えがあるもしくは解決しても何が得られるのかが明確になっていないのでは時間の無駄になってしまいます。

そして「問題」や「課題」を解決するにあたり仮説を立てることが重要だと述べています。仮説を立てて答えをシュミレーションして「問題」や「課題」をより明確にでき、その結果無駄が減ると述べています。

また、よいイシューの条件としては以下の3つのものがあります。

よいイシューの3条件

①本質的な選択肢(答えが出ると今後の方向性に大きな影響がでる)
②深い仮説がある(常識を否定するもの、新しい構造で説明できる)
③答えを出せる(明確な答えを出せる)

第2章 仮説ドリブン⓵ イシューを分解し、ストーリーラインを組み立てる

ここからは「解の質」を高める方法について述べられています。「解の質」を高めるためには「ストーリーライン」づくりと「絵コンテ」づくりが重要と説明しています。この2つを合わせて「イシュー分析」と言います。

「ストーリーライン」づくりは2つの作業に分解されます。1つは「イシューを分解すること」、もう1つは「分解したイシューに基づいてストーリーラインを組み立てること」です。

イシューを答えが出せるまで分解していきます。分解されたイシューを「サブイシュー」といい、それぞれについて仮説をたて問題を明確にしていき、取り組むべき優先順位を決めていきます。

次に分解された「サブイシュー」を並べて「ストーリーライン」を組み立てます。最終的に言いたいことをしっかり伝えるために「サブイシュー」を並べていきます。

第3章 仮説ドリブン② ストーリーを絵コンテにする 

ここでは「サブイシュー」の答えとなる「分析イメージ」のデザインを行います。「分析イメージ」とは個々のグラフや図表のイメージのことです。

本ではこの「分析イメージ」づくりを「絵コンテ」づくりと呼んでいます。「サブイシュー」の答えとなるグラフや図表をイメージしながら当てはめていくことでストーリーラインが明確になっていきます。具体的なデータなくても仮説ベースでよいから進めていくということです。

本では絵コンテづくりを以下の3つのステップで行うことについて説明しています。

Step1【軸を整理する】

「軸」とは縦軸と横軸のことでありそれぞれに何を取るかが重要になってきます。

更には「分析」とは何かということ問いていて、「分析とは比較、すなわち比べること」と述べています。「比較」するために何の「軸」を採用するかを考えることが分析の本質であると説明しています。

また定量分析を行うにあたり「比較」「構成」「変化」という3つの考え方が分析の大多数を占めていると説明しています。

  • 比較:各項目を共通の値で比較したもの(棒グラフで示されることが多い)
  • 構成:全体に対する各項目を割合で示したもの(円グラフで示されることが多い)
  • 変化:各項目の変化を時系列で示したもの(横軸を時間とする線グラフで示されることが多い)

Step2【イメージを具現化する】

前のステップで決めた軸を使いながら数値を入力して分析・検討結果のイメージを作ります。チャートを見ながら縮尺を決めたり、数字の代わりに割合で表したりとチャートに意味を持たせるために確認を進めます。

このときチャートのイメージで重要なのは「意味合い」をはっきりさせることです。「意味合い」を持たせるために次の3つの違いを典型的なものとして説明しています。

  1. 差がある
  2. 変化がある
  3. パターンがある

結果をイメージしながら分析を進めることを述べています。

Step3【方法を明示する】

最後に何を用いてデータを取るか、どういった調査を行うかを明示していきます。

第4章 アウトプットドリブン 実際の分析を進める

イシューを見極めて、ストーリーラインができ、絵コンテができたならばその絵コンテを本物の分析に進めていきます。ここからが実際の作業となる訳ですがここでも未だ確認が必要と述べています。

もっともバリューのあるサブイシューを見極め、そのための分析を行うことです。そこを検証しておかないと本筋が崩れてしまう恐れがあるからです。カギとなる「前提」と「洞察」を抑えようということです。あとは優先順位の高い順に着手していけばよいということになります。

また気を付けるべきポイントとして「仮説が正しいと言える事ばかり集めてきて、本当に仮説が正しいか検証しない」ということが無いようにしようとも述べています。

実作業時に発生するトラブルにはリスクヘッジをかけておくことも重要だと述べています。二重、三重で検証できる仕掛けを用意したり、前もって問題について考えて仕込んでおくことです。

またアウトプットの完成度は上がれば上がるほど完成度向上に時間が必要となるので必要な完成度に達したら、次のサブイシューに行くかサイクルをもう一度回した方が完成度があがると説明しています。

第5章 メッセージドリブン 「伝えるもの」をまとめる

ここでは実際に論文やプレゼンの資料をまとめる時のポイントを述べています。

アウトプットには相手に対して以下の内容が含まれている必要があります。

  1. 意味のある課題を扱っていることを理解してもらう
  2. 最終的なメッセージを理解してもらう
  3. メッセージに納得して、行動してもらう

発表に対する心構えとして以下の内容が重要と述べています。

  • ひとつ、聞き手は完全に無知だと思え
  • ひとつ、聞き手は高度の知性を持つと想定せよ

そして資料を「本質的」「シンプル」という視点で磨き上げようと述べています。

またストリーラインの構造の磨きこみを行うためには以下の3つのプロセスがあります。

  1. 論理構造を確認する(カギとなる洞察や理由はダブりもモレもない状態か?)
  2. 流れを磨く(最終的なメッセージを明確な論理の流れの中で示す)
  3. エレベータテストに備える(20~30秒のメッセージにまとめれるか?)

チャートの磨きこみのためには「優れたチャートの3条件」があります。

  1. 1チャート1メッセージを徹底
  2. タテとヨコの比較の軸を磨く
  3. メッセージと分析表現を揃える

自分の仕事に当てはめてみる

説明が大分長くなってしまいました。説明自体は分かりやすいのですが、扱っている内容がモモキンには高度で難しく感じました。

モモキンは仕事の中で課題解決や問題解決は死ぬほど沢山やってきました。しかし紹介されている手法の中の一部は使ってきましたが、ここまで事前検討を行ったりストーリーを検証したりは出来ていなかったです。

特に若いうちはイシューの「イ」の字もなくひたすら「犬の道」を歩んでいったかと思います。

考えられる理由としては2点あります。

  1. 目の前に問題や課題が発生したら対応するのが当たり前でイシューから始める発想が無い
  2. 「イシュー度」を見極めるだけの知識や経験がなく、テーマの優先順位が決められない

また問題解決の方法については教育でいろいろとならいましたが「なぜなぜ」を繰り返えして「真因」を見つけるというのが定石でした。コアとなる「サブイシュー」を見つけて事前検証しておくといったリスクヘッジ的な発想は皆無でした。「真因」ありきで理論構築しようものならば突っ込まれまくるという風潮も今は分かりませんが昔はありました。

若手のメンバには「脱犬の道」「もっともバリューのあるサブイシューの見極めと分析」の2点は特に勧めたいと思いました。

生産性向上だけではなく効率的なキャリアアップにも繋がるので人材育成の観点からも非常に重要だと考えます。イメージとしては下図のようになります。

またモモキンは業務を進めるにあたり大事にしていることが2つあります。

モモキン鬼の鉄則
・仕事は絶対に失敗しない
・仕事は一発必中

失敗しないために業務テーマの「事前調査」と危ないときは「リスクヘッジ」を必ず掛けます。 精度が必要なときは詳細調査や周りへの根回しは徹底的にやります。

散々失敗し続け、犬の道を歩き続けた結果だと思われます。いいかどうかは別にして今は正にこの境地です。

まとめ

モモキンの周りでも「業務効率化」や「生産性向上」が非常に重要視されています。ここ数年で状況がガラリと変わりました。

入社当時は「残業する人」=「頑張っている人」というイメージが強かったですが、「業務を効率的にする方法」を考えたり「効率化の仕組み」作った人が評価されているような気がします。

コロナ禍になって「リモート」も重要なキーワードとなっています。

ここまで読んで頂いた方ありがとうございました。内容も長くなってしまいすみません。

最後にぜひ本を読んでもらえると良いと思います。


以上ありがとうございました。

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コメント

  1. くりん より:

    イシューの見極め
    一例で良いので、今度、具体的に実業務でぜひ勘所を教えていただきたいです。

    プレゼンの肝の部分、勉強になりました。

    • モモキン モモキン より:

      コメントありがとうございます。
      イシューの見極めですが
      例えば会社で取組んでいるプロジェクトがいくつかあったりします。
      その中で
      ・将来性はあるか?
      ・会社の収益に大きな影響があるか?
      ・会社の基幹業務か?
      そういった分析をしっかり行ってから
      ・どのようなスキルを身につけるか?
      ・プロジェクトチームに滑り込む方法はないか?
      といったことを検討することが大切かと思います。
      直ぐに結果は出ないかもしれませんがそういった思考で行動することで
      後々キャリアに響いてくると考えています。
      参考になれば幸いです。